照井りょう(てるいりょう)千葉県松戸市

マンションの隣の部屋が民泊に?|松戸市で民泊はできるのか、ルールと確かめ方

先日、駅前でビラ配りを行なっていたときに、市内のマンションにお住まいの方から、こんなご相談をいただきました。

「同じマンションの一室に、スーツケースを引いた外国人の方が入れ替わり立ち替わり出入りしている。どうやら民泊として使われているようだ。こういうことは許されているのか」

ご相談の方は、夜遅くの話し声やゴミの出し方、見知らぬ人がオートロックの中に入ってくることに不安を感じていらっしゃいました。

そもそも、松戸市で民泊は運営できるのか。どんなルールがあり、住民は何を確かめればよいのか。調べてみたことを、まとめてお伝えします。

■ 結論:松戸市でも、ルールを守れば民泊はできる

結論から言うと、松戸市でも民泊を運営することはできます。ただし、決められた手続きを踏むことが条件です。
お金をとって人を泊める方法には、大きく分けて3つの制度があります。

1つめは、住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)にもとづく「住宅宿泊事業」です。
千葉県に届け出れば、住宅を使って民泊を営むことができます。ただし、営業できるのは1年間で180日までです。

2つめは、旅館業法にもとづく「簡易宿所」です。
保健所の許可を受ければ、365日営業できます。ただし、建物の基準が厳しく、住居専用地域では営業できません。

3つめの「特区民泊」は、国家戦略特区に指定された地域だけで認められる制度です。
県内では千葉市が対象で、松戸市は対象外です。

つまり、松戸市で民泊を営むには、県への「届出」か、保健所の「許可」が必要です。どちらもないまま、お金をとって人を泊めることは違法です。

■ 千葉県には、民泊を制限する条例がない

民泊のルールは、都道府県や市によって違います。
東京都の一部の区のように、条例で営業できる地域や曜日を制限しているところもあります。

一方、千葉県には、民泊の営業を制限する条例はありません。
県の案内でも、条例で民泊の営業が制限されている地域は「ありません」と明記されています。

また、松戸市で民泊の届出を受け付けるのは、松戸市ではなく千葉県です。
千葉市・船橋市・柏市は自前の保健所を持っているため、それぞれの市が受け付けますが、松戸市は県が窓口になります。

■ 松戸市内の届出民泊は42件

千葉県は、届け出られた民泊の所在地をホームページで公表しています。
2026年9月30日時点で、県が受け付けた民泊は877件。そのうち松戸市内にあるものは42件でした。

地域別では、「松戸」が12件で最も多く、八ケ崎が5件、下矢切と五香西がそれぞれ4件と続きます。

■ 民泊を営む人が守らなければならないこと

住宅宿泊事業として届け出た人には、さまざまな義務があります。主なものは次のとおりです。

・1年間の営業日数は180日まで
・玄関など見やすい場所に、届出番号を書いた「標識」を掲示する(宿泊者がいない日も)
・宿泊者全員の名簿をつくり、3年間保存する
・外国人の宿泊者からは旅券(パスポート)の提示を受け、写しを保存する
・宿泊者1人あたり3.3平方メートル以上の広さを確保する
・近隣からの苦情には、深夜や早朝でも対応する。緊急時は原則30分以内に現地へ駆けつける
・家主が住んでいない「家主不在型」の場合は、国に登録した住宅宿泊管理業者に管理を任せる
・2か月ごとに、宿泊日数や宿泊者数、国籍別の内訳を県に報告する

虚偽の届出をした場合などには、罰則もあります。

■ マンションの場合は「管理規約」が決め手

ご相談のようにマンションの一室で民泊を営む場合、大きな意味を持つのが管理規約です。

千葉県の案内では、管理規約で民泊を禁止している場合、その住宅で住宅宿泊事業を営むことはできないとされています。
管理規約に民泊について何も書かれていない場合は、管理組合に禁止する意思がないことを確認した誓約書を出さなければ、届出はできません。

つまり、マンションの住民が「民泊は困る」と考えるなら、管理組合で話し合い、管理規約に民泊を禁止する定めを置いておくことが、最も確実な方法です。
国のマンション標準管理規約でも、民泊を認めるかどうかを規約に明記しておくことが勧められています。

■ 住民ができる4つの確認

では、マンションで民泊らしき部屋を見かけたら、どうすればよいのでしょうか。

1 玄関に「標識」があるか見る
届出済みの民泊には、届出番号を書いた標識の掲示が義務づけられています。

2 千葉県の届出一覧に載っているか調べる
県のホームページで、届出のあった住宅の所在地を確認できます。

3 管理規約で民泊を禁止しているか確かめる
禁止していれば、そもそも住宅宿泊事業を営むことはできません。

4 おかしいと思ったら、相談する
千葉県の衛生指導課(043-223-2627)や、国の民泊制度コールセンター(0570-041-389)が相談先です。管理会社や管理組合にも伝えましょう。

標識もなく、県の一覧にも載っていないのに、繰り返し宿泊客が出入りしている場合は、届出も許可もない「違法民泊」の可能性があります。

■ 大切なのは、国籍ではなく手続き

ここで、ひとつお伝えしておきたいことがあります。

民泊が合法か違法かを決めるのは、運営する人や泊まる人の国籍ではありません。
届出や許可という手続きを踏んでいるかどうかです。
日本人が運営していても届出がなければ違法ですし、外国人が運営していても、きちんと届け出て義務を守っていれば合法です。

私は行政書士として外国人の在留資格の手続きに携わっていますが、外国人が日本で事業を営むには、その活動が認められた在留資格が必要です。
在留資格によっては、民泊の運営そのものが認められた活動の範囲を超えることもあります。
ルールを守る人は国籍にかかわらず尊重し、ルールを破る人には国籍にかかわらず厳正に対応する。民泊も、その原則で考えるべきだと思います。

■ 松戸市への提案

民泊の届出の窓口は千葉県ですが、住民がまず相談するのは身近な市役所です。

1 市役所に、民泊の相談窓口をはっきり設ける
住民からの相談を受け止め、県や警察、保健所につなぐ窓口を明確にします。

2 マンション管理組合への情報提供
管理規約に民泊の可否を定める方法や、届出の確認方法を、管理組合向けにわかりやすく周知します。

3 県と連携して、違法民泊に対応する
住民から寄せられた情報を県と共有し、届出のない営業には指導を徹底するよう働きかけます。

■ おわりに

民泊は、観光客を迎え入れ、空き部屋を活用する手段として、うまく使えば地域の力にもなります。
一方で、ルールを守らない民泊は、近隣の住民の安心を損ないます。

ご相談をくださった方のように、不安を感じながら暮らしている方がいます。
民泊を一律に否定するのでも、見て見ぬふりをするのでもなく、ルールを正しく知り、守られているかを確かめられる仕組みをつくる。
それが、住民の安心と、地域のこれからを両立させる道だと考えています。

参考文献

千葉県「民泊について(住宅宿泊事業法)」(令和8年10月28日更新)
https://www.pref.chiba.lg.jp/eishi/tetsuzuki/minpaku.html
千葉県「住宅宿泊事業 届出の手引き」
https://www.pref.chiba.lg.jp/eishi/tetsuzuki/documents/202609tebiki.pdf
千葉県「住宅宿泊事業 よくある質問(Q&A)」
https://www.pref.chiba.lg.jp/eishi/tetsuzuki/documents/10qa.pdf
千葉県「県内届出受理施設一覧(所在地別・令和8年9月30日時点)」
https://www.pref.chiba.lg.jp/eishi/tetsuzuki/documents/itiran0930syozai.pdf
千葉県「市町村対応(民泊)」
https://www.pref.chiba.lg.jp/eishi/tetsuzuki/sityouson-minpaku.html
千葉県「旅館業法について」
https://www.pref.chiba.lg.jp/eishi/tetsuzuki/ryokangyouhou.html
観光庁「民泊制度ポータルサイト」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/index.html

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