照井りょう(てるいりょう)千葉県松戸市

【市政コラム】松戸市の新しいごみ焼却施設、総額1,034億円の全貌|場所・稼働時期・ごみの出し方はどう変わる?

こんにちは。闘う行政書士の照井りょうです。

松戸市がいま進めている事業の中で、金額が最も大きいものをご存じでしょうか。
駅前の再開発でも、市役所の建て替えでもありません。答えは、新しいごみ焼却施設の整備です。

その額、およそ1,034億円。松戸市の一般会計予算1年分の半分を超える規模の事業が、市民の目に触れないところで着々と動いています。そして2026年9月、大きな節目を迎えました。

■ 今月決まったこと:JFEエンジニアリングが事業者に

松戸市は令和8年(2026年)9月7日付けで、新焼却施設整備事業の総合評価一般競争入札の落札者と基本協定を締結しました。
落札者はJFEエンジニアリング株式会社です。

基本協定とは、設計・建設業務と運営・維持管理業務をまとめて発注する契約に向けて、市と事業者双方の義務を定めるもの。
つまり「誰が作って、誰が20年間動かすのか」が実質的に決まった段階ということです。

計画段階から実行段階へ移る、事業の大きな転換点でした。

■ なぜ新しい焼却施設が必要なのか

市の説明を整理すると、こういうことです。

松戸市はかつて、クリーンセンター(高柳新田)と和名ケ谷クリーンセンターの2施設で可燃ごみを処理していました。しかし老朽化により令和2年3月にクリーンセンターが稼働を停止。現在は和名ケ谷クリーンセンター1施設のみで処理しており、処理しきれない可燃ごみは、ごみ中継施設で積み替えて近隣市などで処理してもらっている状態です。

そして残る和名ケ谷クリーンセンターも、平成7年の稼働開始から30年余りが経過し老朽化が進んでいます。

つまり松戸市は今、自前でごみを処理しきれていないのです。よそに頼りながら、残る1施設の寿命と競走している。これが新施設建設の背景です。

■ 新施設の基本データ

市が令和7年12月26日付けで策定した基本計画から、主なポイントをまとめます。

場所:旧クリーンセンター跡地(松戸市高柳新田37番地)。新八柱・八柱方面ではなく、市の東部、六実・常盤平寄りのエリアです。

処理能力:1日402トン。このうち災害廃棄物の処理量として施設規模の約10%を見込んでいます。参考までに、現在稼働中の和名ケ谷クリーンセンターは日量300トンです。

事業費:整備(設計・解体・建設)と運営(20年間、維持管理費含む)の合計で概算1,034億円。市の令和8年度予算資料では、債務負担行為を含めた総額は1,040億5,162万1千円とされています。

事業方式:DBO方式。公設民営の一種で、市が資金を出して施設を保有し、設計・建設・運営を民間がまとめて担う仕組みです。市は公設公営や民設民営など複数の方式を定性的・定量的に評価し、最も優れる結果となったDBO方式を採用したと説明しています。

稼働時期:令和16年(2034年)4月から新施設1施設体制に移行する計画です。

■ 単なる「ごみ焼却場」ではない6つの方針

基本計画では、6つの基本方針が掲げられています。安全・安心な施設、周辺環境への配慮、循環型まちづくりへの寄与、環境学習・啓発を行う施設、災害対策の拠点、経済性に優れた施設の6つです。

注目したいのが5番目です。平常時は地域交流の場として、災害時には地域の防災拠点となる施設という「フェーズフリー」の考え方が採用されています。焼却施設は自前で発電できるため、停電時にも機能を維持しやすいという特性があります。

また、ごみを焼却する際の熱エネルギーを蒸気・温水・電気に変換し、施設内だけでなく施設外での利用も含めて活用する計画です。温水プールや入浴施設を併設する例は各地にありますが、松戸市がどうするかはこれからの検討です。

実際、市は2025年7月に周辺住民へのアンケートを実施しています。常盤平支所管区と六実支所管区から無作為抽出した18歳以上の1,500人が対象で、有効回答は550件。敷地内の公園・広場などのスペースや、エネルギーを活用した施設の整備について意見を聞くもので、市は今後も地元町会や市民の意見を伺いながら施設の機能を検討するとしています。

■ 公害対策はどうなる?

周辺にお住まいの方が最も気にされる点でしょう。

1日の処理能力が100トンを超える廃棄物焼却施設の新設は千葉県環境影響評価条例の対象事業にあたるため、松戸市は環境影響評価(環境アセスメント)の手続きを進めています。

基本計画では、各種法令・条例以上に厳しい自主的な公害防止基準値を設定し遵守すること、供用後も定期的に測定しながら監視することが明記されています。
工事中・供用後ともに、環境影響評価で検討した環境保全措置を実施する計画です。

■ で、ごみの出し方は変わるの?

ここが多くの方の関心事だと思いますが、結論から言えば当面は変わりません。

新施設の稼働は2034年。それまでは現在の体制、つまり和名ケ谷クリーンセンターでの処理と市外への搬出が続きます。分別方法や収集日が今すぐ変わるという話ではありません。

ただし中長期で見れば、関係はあります。市外に処理を頼んでいる分にはコストがかかっており、それは私たちの税金です。
ごみの量が減れば、必要な処理能力も、外に払うお金も減ります。新施設が完成するまでの8年間は、松戸市にとってごみ減量の効果が最も直接的に効く期間だとも言えます。

■ 1,034億円をどう見るか

この金額をどう評価するかは、立場によって分かれるところです。

20年間の運営費を含んだ総額であること、災害廃棄物の受け入れ能力を備えること、防災拠点としての機能を持つことを考えれば、単純な「焼却炉の値段」ではありません。
一方で、市の財政は財政調整基金が減少傾向にあり、財政改革が進められている最中でもあります。

この規模の事業が市民にほとんど知られないまま進んでいるのではないか、と言われないような透明性のある説明を行うべきであると考えております。
市役所の建て替えは市長選の争点になりましたが、その1.5倍近い事業費のこちらは、ほとんど話題になっていないように感じます。

■ これからのスケジュール

2026年9月:落札者(JFEエンジニアリング)と基本協定を締結 ← いまここ
今後:設計・施工監理業務の委託先をプロポーザル方式で選定
旧クリーンセンターの解体を経て建設へ
2034年4月:新施設稼働、市内1施設体制へ

■ まとめ

松戸市は現在、自前でごみを処理しきれず近隣市に頼っている
旧クリーンセンター跡地(高柳新田)に日量402トンの新施設を建設
事業費は20年間の運営費込みで概算1,034億円
2026年9月、JFEエンジニアリングと基本協定を締結
稼働は2034年4月。それまでごみの出し方は変わらない
防災拠点・環境学習拠点としての機能も計画されている

問い合わせ先は、環境部 清掃施設整備課(電話047-366-7335)です。

(出典:松戸市「松戸市新焼却施設整備事業」「(仮称)松戸市エネルギー回収型廃棄物処理施設基本計画 概要版」「新焼却施設敷地内の公園・広場等及びエネルギー利用施設に関するアンケート調査結果」、令和8年度松戸市当初予算案資料ほか。情報は2026年9月時点)

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