照井りょう(てるいりょう)千葉県松戸市

【市政トリビア】松戸競輪は市の財政にいくら貢献しているのか|繰出金は8億円、花火大会も保育士の手当もここから出ていた

こんにちは。闘う行政書士の照井りょうです。

松戸市に競輪場があることは、多くの市民が知っています。
しかし「その収益が市の財政にどう入っているのか」まで知っている人は、ほとんどいないのではないでしょうか。

実は、松戸市の一般会計には毎年、競輪事業からお金が入っています。
そして令和8年度の額は8億円。しかもその使い道には、あの花火大会や保育士さんの手当が含まれています。

市の公表資料をもとに、松戸競輪と市財政の関係を整理しました。

■ 松戸競輪の基本情報

松戸競輪の開催が始まったのは昭和25年。これまで千葉県や松戸市を含む自治体が施行者として運営してきましたが、平成17年から松戸市が単独の施行者となっています。

競輪事業の目的は、機械工業の振興、公益増進事業の振興、そして地方財政の健全化。車券の売上金から払戻金と開催経費を除いた収益の一部が、競輪事業特別会計から市の一般会計へ繰り出される仕組みです。

また、公益財団法人JKAへの納付金という形でも、機械工業の振興や社会福祉の補助事業に還元されています。

■ 繰出金の推移:1億円の時代から8億円へ

市が公表している各年度の繰出金を見ると、この20年間の変化がはっきり分かります。

年度 繰出金
平成17年度 1億円
平成18年度 3億2千万円
平成19〜21年度 各2億円
平成22〜23年度 各1億5千万円
平成24年度 1億円
平成25年度 1億1千万円
平成26年度 1億円
平成27〜28年度 各1億3千万円
平成29年度〜令和2年度 各1億円
令和3年度 3億円
令和4年度 4億円
令和5年度 3.5億円
令和6年度 6億円
令和7年度 8億円
令和8年度 8億円

平成29年度から令和2年度までは4年連続で1億円。ところが令和3年度に3億円へ跳ね上がり、そこから急拡大しています。令和2年度と令和8年度を比べると8倍です。

背景にあるのは、公営競技全体で進んだインターネット投票の普及とみられます。
実際、松戸市議会の委員会でも、車券のネット売上が16.3%増加したという議論がありました。コロナ禍で会場に行かなくても買える環境が整ったことが、公営競技の売上を押し上げた形です。

■ そのお金は何に使われているのか

ここが最も知られていない部分です。

平成17年度から令和3年度までは、特定の事業に紐付けず、社会福祉や子育て支援、学校教育、土木事業など様々な事業の財源として使われていました。

ところが令和4年度から、使途が明示されるようになります。

令和4年度
保育施設従事者支援補助金(松戸手当)

令和5年度・令和6年度
松戸花火大会負担金
保育施設従事者支援補助金(松戸手当)

令和7年度・令和8年度(予算)
松戸花火大会負担金
保育施設従事者支援補助金(松戸手当)
中小企業経営関係業務、中小企業経営支援補助金、中小企業振興資金利子補給金
商店街支援業務(令和7年度は中心市街地活性化支援業務も)
企業立地促進補助金

つまり、松戸花火大会の費用の一部は競輪の収益です。そして保育士等の処遇改善に使われる「松戸手当」も、財源の一部は競輪から出ています。

さらに令和7年度からは、中小企業支援や商店街支援、企業誘致にも広がりました。繰出金が8億円に増えたことで、使える範囲が拡大したわけです。

■ 8億円をどう評価するか

この額をどう見るべきでしょうか。

松戸市の令和8年度一般会計は1,945億1,000万円です。8億円は全体の約0.4%にあたります。
割合としては決して大きくありません。

一方で、市の財政は今、財政調整基金が減少傾向にあり、財政改革が進められている最中です。
8億円は、市が新たに事業を始めようとするときの規模感としては相当なものです。
たとえば松戸花火大会の負担金や保育士の処遇改善を、一般財源だけで賄うのは簡単ではありません。

見方を変えれば、こうした事業が競輪の収益に依存しているとも言えます。
ネット投票の伸びが止まれば、あるいは公営競技をめぐる環境が変われば、財源が細るリスクもあります。
8億円という数字は、ありがたさとリスクの両方を含んでいるのではないでしょうか?

なお、公営競技はギャンブルであり、依存症の問題と無関係ではありません。
収益が公共の福祉に使われることと、それが賭博収入であることは、切り離さずに考えるべき論点です。
全国の自治体では、公営競技の収益の一部を依存症対策に充てる動きもあります。松戸市がこの点をどう扱うかは、今後注目したいところです。

■ 知っておくと市政がよく見える

この話が面白いのは、お金の流れが具体的に見えるところです。

「花火大会にお金がかかる」と聞くと税金の話のように思えますが、実際には競輪の収益が充てられている。
「保育士の待遇を改善してほしい」という要望に対して、市が使っている財源の一つが競輪である。
市の予算は、こうした個別の財源の積み重ねでできています。

そして令和4年度以降、市が使途を明示するようになったこと自体も評価できる変化です。
どこから来たお金が何に使われたのかが分かることは、行政の透明性そのものだからです。

■ まとめ

松戸競輪は昭和25年開催開始、平成17年から松戸市が単独の施行者
一般会計への繰出金は令和8年度で8億円。令和2年度の1億円から8倍に
背景にはネット投票の普及による売上増があるとみられる
使途は松戸花火大会、保育士の松戸手当、中小企業・商店街支援、企業誘致など
一般会計1,945億円に対して約0.4%だが、個別事業を支える規模としては大きい
賭博収入である以上、依存症対策との両立も考える必要がある

問い合わせ先は、経済振興部 公営競技事務所(電話047-362-2181)です。

(出典:松戸市「競輪事業の収益について」(2026年4月1日更新)、「令和8年度松戸市当初予算案」ほか。情報は2026年9月時点)

照井りょう公式HPの拡散にご協力下さい

照井りょうのSNSをフォローして下さい