インフルエンザ予防接種の助成を、子どもから現役世代にも!
2026年10月2日
市民の方からいただいた声
先日、市民の方から「インフルエンザの予防接種を、65歳以上だけでなく子どもにも助成してほしい」というご意見をいただきました。
パブリックコメントにも同じ意見を出されているそうです。
私も同じ考えです。インフルエンザ予防接種の助成は、高齢者だけでなく、子どもから現役世代まで広げるべきだと考えています。
今回は、その理由と、松戸市で実現できるのかを整理してみました。

今年は例年より早く、8月の段階で全国的な流行入りが発表されました。この冬への備えとして、今まさに考えるべきテーマだと思います。
子どもの接種は家計に重い
現在、インフルエンザの予防接種で公費の定期接種の対象になっているのは、65歳以上の方などに限られています。子どもの接種は任意接種で、原則として全額自己負担です。
子どもの接種費用は1回4,000円前後です。しかも13歳未満は2回の接種が必要なので、1人あたり8,000円ほどかかります。子どもが2人、3人いるご家庭では、それだけで2万円前後の出費になります。
インフルエンザは子どもが重症化しやすい病気です。だからこそ予防接種が大切なのに、費用の高さが接種をためらわせる原因になっています。
接種が進まないと、社会全体の負担になる
接種が進まない理由は費用だけではありません。子どもを接種に連れて行くために、保護者が仕事を休まなければならないことも大きな壁です。2回接種なら、休む回数も2回になります。
接種が進まなければ、インフルエンザが広がりやすくなります。その結果、次のような影響が出ます。
• 重症化する子どもが増え、小児医療や救急の現場が逼迫する
• 学級閉鎖が増え、子どもの学習や友だちとの交流が止まる
• 看病のために保護者が仕事を休み、職場や地域経済にも影響が出る
予防接種の効果を正確に測るのは簡単ではありません。それでも、医療費や仕事を休むことによる経済的な損失を考えれば、接種を後押しするほうが社会全体の負担は小さくなると考えます。
近隣の自治体ではすでに助成が始まっている
子どものインフルエンザ予防接種への助成は、すでに多くの自治体で行われています。
千葉県内でも、柏市、我孫子市、浦安市、印西市など20以上の自治体が何らかの助成制度を設けています。隣の市川市でも、市議会が助成制度の確立を求める決議を行いました。
主な例を挙げると、次のとおりです。
・練馬区:生後6か月〜小学6年生、1回2,000円
・板橋区:生後6か月〜高校3年生相当、1回2,000円(点鼻ワクチンは4,000円)
・文京区:生後6か月〜中学3年生、1回3,000円
・港区:生後6か月〜高校3年生相当、1回4,500円
・新潟県三条市:生後6か月〜高校3年生相当、1回2,000円
多くの自治体では、医療機関の窓口で助成額を差し引く方式をとっています。保護者がいったん全額を立て替える必要がないので、利用しやすい仕組みです。
松戸市に住む子育て世帯から見れば、川を渡った東京都の区や隣の柏市と比べて、子どもの接種への支援に差があると感じる方も多いはずです。
子育て世帯に選ばれるまちを目指すうえでも、見過ごせない差だと思います。
松戸市の財政で実現できるのか
結論から言うと、十分に実現できる規模だと考えております。
松戸市の令和8年度の一般会計予算は約1,945億円です。松戸市で生後6か月から高校3年生相当までの子どもは、6万人あまりと見込まれます。
1回2,000円を助成し、半数の子どもが接種したと仮定すると、費用は年間およそ1億円強です。一般会計の0.1%にも満たない額です。
生後6か月以上の希望者全員に広げた場合も試算しました。
65歳以上はすでに定期接種の対象なので、新たに対象となるのは64歳までの約36万人です。
大人の接種率を3〜5割と見込むと、事務費を含めて年間3〜4.5億円程度になります。一般会計の約0.2%です。
・子ども(生後6か月〜高校3年生相当)を対象にした場合:年間約1億円強
・生後6か月以上の希望者全員を対象にした場合:年間約3〜4.5億円
ただし、これは毎年続く支出です。貯金にあたる財政調整基金を取り崩すのではなく、既存事業の見直しによって財源を生み出すことが前提になります。
また、会社員の多くは勤務先の健康保険組合から接種費用の補助を受けています。二重の給付にならないような制度設計も必要です。
そこで私は、段階的に広げることを提案します。
まずは子どもと妊婦から始め、次に子育て世帯の保護者など、家庭内感染を防ぐ効果が高い方へ、そして最終的には希望する方全員へ。
この順序であれば、財政への影響を確かめながら着実に進められます。
仕事を休みにくい問題にも向き合う
費用の助成とあわせて取り組みたいのが、接種のために仕事を休みにくいという問題です。
市として、予防接種の広報に力を入れるとともに、ワクチン接種に伴う休暇の取得について、市民や市内の事業者に周知していくべきだと考えます。
まずは市役所が職員の休暇制度を整えて手本を示すことも有効です。これらは大きな予算をかけずにすぐ始められます。
もう一つの方法が、鼻にスプレーする点鼻ワクチンです。2歳以上であれば1回の接種で済むので、通院も仕事を休むのも1回で済みます。
他の自治体では点鼻ワクチンも助成の対象に加える例が出てきています。松戸市でも対象に含めることで、接種のハードルを下げられます。
ほかにも、土日や夕方に接種できる日を設けるなど、働く保護者が利用しやすい環境づくりが大切です。
学校での接種について
いただいたご意見には、学校で接種できるようにしてほしいという声もありました。保護者が仕事を休まずに済むという点で、とても魅力的な案です。
一方で、日本ではかつて学校での集団接種が行われていましたが、1994年の法改正で任意接種へと切り替わった経緯があります。
学校で行うと、任意であっても「みんなが受けるから」という同調圧力が生まれやすくなります。保護者の同意の確認や、副反応が出たときの対応、医師の確保といった課題もあります。
そのため、すぐに学校での接種を導入するのは簡単ではありません。まずは点鼻ワクチンの助成や休日の接種日の設定など、保護者の負担を減らす方法から進め、学校での接種については課題を整理しながら検討を続けるのが良いかと考えております。
接種したい人が、ためらわずに受けられる松戸市へ
大前提として、予防接種は任意であるべきです。受けるかどうかは、一人ひとりやご家庭が判断することです。
問題なのは、受けたいと思っても費用や仕事の都合でためらってしまう家庭があることです。
その壁を取り除くのが、市の役割だと考えます。
私は、次の三つに取り組みます。
1. インフルエンザ予防接種の助成を、子どもから段階的に現役世代へ広げる
2. 点鼻ワクチンを助成の対象に加え、通院の負担を減らす
3. ワクチン接種に伴う休暇の取得について、市として広く周知する
子どもたちの健康を守ることは、子育て世帯を支え、地域の医療と経済を守ることにもつながります。これからも皆さまの声を聞きながら、実現に向けて取り組んでまいります。