照井りょう(てるいりょう)千葉県松戸市

学校に行けない子の居場所は、松戸にいくつあるのか

朝になると、お腹が痛くなる。制服に着替えたのに、玄関から動けない。

わが子がそうなったとき、親はまず「どうすれば学校に戻れるか」を考えます。
でも、学校に戻ることだけが答えではありません。いま国も、学校以外の場所で学ぶことを認める方向へ大きくかじを切っています。

この記事では、松戸市で不登校の子どもと家族が使える支援を整理しました。あわせて、その支援がいま足りているのかを考えます。

不登校の小中学生は、10年で約3倍になりました

2024年度、全国の不登校の小中学生は35万3,970人でした。
12年連続で増え、過去最多です。10年前の2014年度は12万2,897人だったので、およそ3倍になりました。

不登校は、特別な家庭の特別な話ではなくなっています。

松戸市では、およそ1,100人と推計されます

千葉県の公立小中学校では、2024年度、小学生の2.09%、中学生の5.89%が不登校でした。

この割合を、松戸市の市立小中学校に通う子どもの数(小学生2万1,691人、中学生1万521人)に当てはめると、小学生は約450人、中学生は約620人になります。
合わせて、およそ1,100人です。中学生なら、約17人に1人の計算です。

これは県の割合をもとにした推計です。
市の計画では、不登校の子どもは毎年増えていると書かれています。
ただ、市の公表資料からは、年ごとの実際の人数をすぐに確かめることができませんでした。

松戸市には、どんな支援があるのか

松戸市の不登校支援を整理すると、主に4つあります。

1 教育相談

市の教育委員会(児童生徒課)で、心理士などの相談員が継続して相談に乗ってくれます。最初は保護者だけで面談を受け、担当の相談員が決まります。

2 ふれあい学級

不登校の子どもが通う教室です。少人数で、個別の学習を中心に、音楽や工作、校外学習なども行います。中学部は月曜から金曜、小学部は火・木・金曜に開いています。

場所は古ケ崎にある市の教育支援センターで、松戸駅西口からバスで向かいます。

3 ほっとステーション

勉強をしてもいいし、本やマンガを読んでもいいし、何もしなくてもいい。学校に行けない子どもが、安心して過ごせる居場所です。古ケ崎と常盤平の2か所にあり、火・水・木曜の9時30分から14時30分まで開いています。家庭訪問もしています。

4 フリースクールの利用料の補助

2025年度から、フリースクールを利用する小中学生の保護者に、月の利用料の3分の1(上限月1万円)を補助しています。おおむね30日以上学校を休んでいる子が対象で、市が認定したフリースクールを利用することが条件です。

見えてきた3つの課題

市も手をこまねいているわけではありません。それでも、調べてみると気になる点がありました。

課題1 フリースクール補助は「臨時のお金」で続いています

フリースクールの補助は、子育て世帯にとって大きな前進です。
ただ、その財源は国の「物価高騰対策の臨時交付金」です。

臨時交付金は、国の方針しだいでなくなる可能性があるお金です。もし交付金がなくなれば、補助が続く保証はありません。

補助があっても、家庭の負担は軽くありません。
たとえば月3万円のフリースクールなら、補助は1万円で、家庭の負担は月2万円、年24万円です。
入会金や施設費は補助の対象外です。

子どもの学びを支える制度を、臨時のお金に頼ったままにしておいてよいのでしょうか。

課題2 通える場所が、身近にありません

子どもが通う教室「ふれあい学級」は、市内に古ケ崎の1か所だけです。
古ケ崎は市の西の端、江戸川の近くにあります。

松戸市は南北に長い街です。
小金原や六実、五香に住む子どもが古ケ崎まで毎日通うのは、簡単ではありません。
学校に行けないほど心が疲れている子どもに、バスを乗り継いで通うことを求めるのは酷です。

居場所の「ほっとステーション」も2か所で、開いているのは週3日です。
推計1,100人の子どもに対して、身近な居場所は足りていると言えるでしょうか。

課題3 「つながっている」とは、どういう状態なのか

市の教育振興基本計画では、「どこにもつながっていない」不登校の子どもを0人にすることを目標にしています。
2024年度の数字は、小学生0人、中学生2人とされています。

一方、全国の調査では、不登校の子どものうち38.3%が、学校の内外で専門的な相談や支援を受けていません。
その多くは、担任の先生と週1回程度は連絡を取っている子どもです。

担任と連絡が取れていることと、必要な支援につながっていることは、同じではありません。
松戸市が何をもって「つながっている」と数えているのか。数字の中身を確かめる必要があると考えています。

では、松戸市は何をすべきか

提案1 不登校の実態を、毎年わかりやすく公表する

不登校の人数、その子たちがどこで学んでいるか(ふれあい学級、フリースクール、家庭など)、どこにもつながっていない子が何人いるか。
こうした数字を毎年公表します。実態が見えなければ、必要な支援の量も決められません。

提案2 フリースクール補助を、市の恒久的な制度にする

臨時交付金に頼らず、市の予算で続く制度にします。
あわせて、補助の割合や上限額が家庭の負担に見合っているかを検証します。

提案3 居場所を、子どもが歩いて行ける距離に

ほっとステーションを各地域に広げ、開く日を増やします。
学校の中にも、教室に入れない子が過ごせる部屋を用意し、専任の大人が見守る体制をつくります。
市の計画にある「夕方からでも学べる仕組み」も、早く形にすべきです。

提案4 親を孤立させない

子どもが学校に行けなくなると、親が仕事を減らしたり辞めたりすることがあります。
保護者が気軽に相談でき、同じ悩みを持つ親同士がつながれる場を、市が後押しします。

学校に戻ることだけが、ゴールではありません

市の計画には、「登校という結果だけを目標にしない」という考え方が書かれています。
私もそのとおりだと思います。

学校でも、フリースクールでも、家でもいい。大切なのは、子どもが安心して過ごせて、学ぶことをあきらめずにすむ場所があることです。

その場所を、松戸のどこに住んでいても選べるようにしたい。そう考えています。

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