照井りょう(てるいりょう)千葉県松戸市

松戸には、大人が通う中学校があります|夕方5時に始まる「みらい分校」を知っていますか

こんにちは。闘う行政書士の照井りょうです。

夕方5時20分。仕事を終えた大人たちが、古ケ崎にある学校の門をくぐります。

松戸市立第一中学校みらい分校。松戸市がつくった、夜に授業をする公立の中学校です。
10代の若者から70代の方までが、同じ教室で国語や数学を学んでいます。

市内にこんな学校があることを、どれくらいの方がご存じでしょうか。
この記事では、みらい分校とはどんな学校なのか、なぜ必要なのか、そしてこれからの課題を整理しました。

夕方5時20分に始まる中学校

みらい分校は、2019年4月に開校しました。場所は、古ケ崎にある旧古ケ崎南小学校の校舎です。

授業は平日の週5日、夕方5時20分ごろから夜8時45分ごろまでです。
途中に食事のための休憩をはさみ、1日4時間の授業があります。
年間の授業日はおよそ200日で、昼間の中学校と同じように教員免許を持った先生が教えます。

授業料はかかりません。卒業すれば、中学校の卒業証書がもらえます。

誰が通えるのか

みらい分校に入学できるのは、次の条件をすべて満たし、市の教育委員会が認めた人です。

・15歳を超えている
・松戸市内に住んでいる(千葉県内の他の市町村に住む人は、その市町村の教育委員会の手続きが必要)
・中学校を卒業していない人、または不登校などで十分に学べず、学び直したい人
・みらい分校での学校生活に支障がない

つまり、中学校を卒業していても、不登校などで十分に学べなかった人は入学できます。
卒業証書はもらったものの、実際には授業を受けられなかった人にとって、もう一度中学校の勉強をやり直せる場所なのです。

全国で22年ぶりに生まれた夜間中学の1つ

みらい分校ができたきっかけは、2016年12月に成立した「教育機会確保法」です。
この法律は、年齢や国籍にかかわらず、義務教育を十分に受けられなかった人に学ぶ機会を確保することを、国と自治体に求めています。

この法律を受けて、2019年に全国で22年ぶりに公立の夜間中学が新しく2校開校しました。そのうちの1校が、松戸のみらい分校です。

その後、夜間中学は全国で一気に増えています。2022年5月には40校でしたが、2026年4月には69校になりました。
千葉県には、松戸市のみらい分校のほか、市川市と千葉市に夜間中学があります。

10代から70代まで、同じ教室で学ぶ

夜間中学には、どんな人が通っているのでしょうか。

全国の夜間中学の生徒は、2022年に1,558人でした。
年代を見ると、16〜19歳が20.3%と最も多く、70歳以上も14.4%います。10代から70代以上まで、幅広い世代が同じ教室で学んでいます。

国籍で見ると、全国の生徒の3人に2人が外国籍です。
日本国籍の生徒は、中学校レベルの学力を身につけたい、高校に進みたいといった学び直しを目的に入学する人が多くなっています。

みらい分校でも、開校の翌年は22人の生徒のうち7人が外国籍でした。
外国にルーツのある生徒には、日本語を集中して学ぶコースも用意されています。
日本語が上達すれば、ほかの生徒と同じコースに移って中学校の勉強を進めます。

夜間中学が支えているもの

不登校で学べなかった人の、学び直しの場

以前の記事で、松戸市の不登校の小中学生はおよそ1,100人と推計されることを書きました。
不登校のまま中学校を卒業した人の中には、大人になってから「もう一度勉強したい」と思う人もいます。夜間中学は、そうした人が学び直せる大切な場所です。

戦後の混乱などで学べなかった人の、学びの場

高齢の生徒の中には、戦後の混乱や家庭の事情で、子どものころに学校に通えなかった方もいます。
読み書きを学び、手紙を書けるようになりたい。夜間中学は、そうした願いにも応えています。

日本で暮らす外国人が、日本語とルールを学ぶ場

日本で暮らす外国人が増える中、日本語を身につけ、日本の社会のルールを学ぶことは、本人にとっても地域にとっても欠かせません。
夜間中学は、公立の学校として、その役割の一部を担っています。

生徒は、開校時から減っています

みらい分校は、開校時に25人が入学を予定していました。2020年は22人、2023年5月は23人でした。
2026年5月時点では17人です。

学び直しを必要としている人が減ったわけではないはずです。
全国では夜間中学が増え続けています。
みらい分校の存在が、必要としている人にまだ十分に届いていないのではないでしょうか。

これからの課題

知られていない?

夜間中学に通いたい人の多くは、市の広報やホームページを見る機会が少ない人たちです。
不登校のまま卒業した若者、仕事に追われる外国人、読み書きが苦手な高齢の方。そうした人に情報を届けるには、従来の広報だけでは足りていないように感じます。

通いにくい

みらい分校があるのは、市の西の端の古ケ崎です。
夜の授業が終わるのは8時45分ごろです。市の東側に住む人が、仕事のあとにバスを乗り継いで通い、夜遅くに帰るのは簡単ではありません。

市外から通う人の受け入れ

みらい分校には、佐倉市や白井市など市外から通う生徒もいます。
夜間中学が近くにない地域の人にとって、松戸は貴重な学びの場です。
一方で、市外の生徒を受け入れる費用や体制をどう支えるかは、県や近隣の市と一緒に考えるべき課題です。

松戸市がすべきこと
1 必要な人に、確実に届ける

中学校の不登校の生徒やその家族に、卒業前から夜間中学のことを伝えます。
ハローワーク、外国人を雇う企業、民生委員、地域の日本語教室とも連携し、必要としている人に直接情報を届けます。

2 通いやすくする

夜の帰り道の安全や、通学の負担を減らす方法を検討します。
仕事や家庭の事情で毎日通えない人のために、オンラインでの学習を組み合わせることも考えるべきです。

3 不登校支援と一体で考える

ふれあい学級やほっとステーションなど、不登校の子どもを支える仕組みと、夜間中学を切れ目なくつなぎます。中学校を卒業したあとも、学び直せる場所があることを伝え続けます。

4 県や近隣の市と、支え合う仕組みを

市外から通う生徒の受け入れについて、県や近隣の市と費用や体制を分担する仕組みを求めます。

学ぶことに、遅すぎることはない

夜間中学の教室には、10代の若者と70代の方が並んで座っています。
年齢も、国籍も、これまでの人生もまったく違う人たちが、同じ黒板を見つめています。

学ぶことに、遅すぎることはありません。学び直したいと思ったときに、その扉が開いている街であること。
それは、松戸が誇っていいことだと私は思います。

みらい分校の存在が、必要としている一人ひとりに届くように。その後押しをしていきます。

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