政治に希望はあるのか|線を引く仕事と、線からこぼれた人を守る仕事
2026年10月23日
「政治に希望なんてない」
駅頭に立っていると、ときどきそんな言葉をかけられます。誰がやっても同じ。どうせ一部の人のための政治だ。そう感じている方は、きっと少なくないと思います。
私は、政治に希望はあると考えています。ただし、それは政治家が勝手に用意してくれるものではありません。今日はその理由を、私なりに考える「政治の役割」から書いてみます。
■ 政治の仕事は「線を引くこと」
政治の大きな役割は、利害の調整です。
市の予算には限りがあります。道路を直すのか、学校の設備を新しくするのか、福祉の窓口を増やすのか。すべてを同時に、すべての人の望みどおりにかなえることはできません。
だから、どこかで線を引く必要があります。この制度は何歳まで使えるのか、補助の対象になる世帯はどこまでか、どの事業を先にするのか。こうした線引きこそが、政治の具体的な仕事です。

■ 線引きの叩き台をつくるのは行政、チェックするのは議会
線引きの叩き台をつくるのは、市長をはじめとする行政です。市の職員の皆さんが現場の実情を調べ、予算案や条例案をつくります。
その案が本当に市民のためになっているのか。誰かに不公平な線になっていないか。それをチェックするのが議会の役割です。
市長も市議会議員も、4年に1度の選挙で市民に選ばれます。案をつくる側も、チェックする側も、市民の一票で選ばれている。その意味で、民主主義はよく機能していると私は思います。
■ それでも、民主主義は万能ではない
ただ、民主主義は万能な仕組みではありません。
選挙では、利害関係や既得権益、あるいは宗教などで結びついた団体や組織が、票をまとめることがあります。いわゆる組織票です。
そして一般的に、投票率が低い選挙ほど、組織票を持つ団体に相対的に有利に働きます。
松戸市議会議員選挙の投票率は、2014年が37.74%、2018年が36.19%、2022年が34.82%でした。3回続けて下がっています。有権者はおよそ41万人。そのうち約27万人が投票していない計算になります。

たとえば、ある団体がまとまった1万票を持っていたとします。
投票率が35%なら、投票する人は約14万4千人で、1万票はその7.0%を占めます。投票率が50%に上がれば、投票する人は約20万5千人になり、同じ1万票が占める割合は4.9%に下がります。

組織票そのものは何も変わっていません。変わるのは、投票に行く人の数だけです。
■ 組織票を責めることはできない
ここで誤解のないようにお伝えしたいのは、組織票そのものを非難するつもりはない、ということです。
同じ思いや利害を持つ人たちがまとまって候補者を応援するのは、民主主義の中で認められた正当な行動です。業界の声を届けたい、自分たちの暮らしを守りたい。その思いは本物だと思いますし、民主主義が根付いている証左でもあります。
もし、それをよくないと感じるのであれば、答えはひとつです。まず、選挙に行っていただきたいのです。
組織票の影響力を小さくする方法は、組織票を批判することではありません。一人ひとりの票が増えることです。
■ もうひとつの役割は「線からこぼれた人を守ること」
政治にはもうひとつ、大切な役割があると私は考えています。
それは、線引きから外れてしまった人、漏れてしまった人を守り、その権利を擁護することです。
線を引けば、必ずその線の外に出てしまう人がいます。
年齢の区切りで制度が使えなくなる人。世帯の条件にあと少し届かない人。そもそも制度の存在を知らない人。声を上げる余裕のない人。
私は行政書士として、また成年後見人として、こうした方々と向き合ってきました。障がいのある子どもの将来を案じる親御さん、家族の世話を一人で背負う子ども、学校に行けなくなった子どもとその家族。
どの方も、制度のすき間で困っていました。そして多くの方が、自分から声を上げることができずにいました。
大きな声を実現することは、もちろん大切です。多くの人が望むことを形にするのは、政治の基本です。
けれども、可能な限りそこから漏れた人の声も聞かなければ、みんなが幸せになれる社会は実現できない。私はそう考えています。
■ 一票の重さは、誰でも同じ
では、線からこぼれた人の声は、どうすれば政治に届くのでしょうか。
そのいちばん確かな方法が、選挙での一票です。
市議会議員選挙は、わずかな票差で結果が決まります。2022年の松戸市議選で、最下位で当選した方の得票は1,766票でした。次点の方との差は、わずか62票です。

62票です。ひとつのマンションの住民、ひとつの町会の有志が投票に行くかどうかで、議会の顔ぶれが変わるかもしれない。市議選とは、そういう選挙なのです。
そして、一票の価値は誰でも平等です。経済力のある人も、そうでない人も。若い人も、高齢の方も。どんな職業の人も。投票所で投じる一票の重さは、まったく同じです。
組織の中にいなくても、大きな声を持っていなくても、一票は一票です。今の政治の姿勢や制度の運用は、その一票で変えられるはずです。
■ 政治に希望はあるのか
最初の問いに戻ります。政治に希望はあるのか。
私は、あると思います。ただしその希望は、政治家の側にあるのではありません。
投票所に足を運ぶ、一人ひとりの手の中にあります。
松戸市議会議員選挙は、11月15日が投票日です。期日前投票も利用できます。
どうか、次の選挙では、あなたの貴重な一票を使ってください。そして、あなたの声を、松戸の政治に届けてください。
政治は、届いた声でしか変わりません。
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