馬橋駅の刃物事件から考える|松戸の防犯と外国人政策、「不安」を「対策」に変えるために
2026年10月30日
10月29日の夜、JR馬橋駅の近くで、歩いていた男性3人が次々と刃物で切りつけられる事件が起きました。
私は毎朝、駅に立って地域の皆さんにご挨拶をしています。
通勤や通学で毎日使う駅のすぐ近くで、こうした事件が起きたことに、強い不安を感じた方も多いと思います。
けがをされた3人の方の一日も早い回復を、心からお祈りします。
この事件をきっかけに、松戸の防犯と外国人政策について、私の考えをお伝えします。

■ いまわかっていること
報道によれば、事件が起きたのは10月29日の午後7時30分ごろです。
JR馬橋駅近くの路上で、別々に歩いていた男性3人が、面識のない人物に刃物で切りつけられました。3人とも首や肩に軽いけがをしました。
警察は、駅の構内で果物ナイフを持っていた男を、銃刀法違反(刃物の携帯)の疑いで逮捕しました。
男はコロンビア国籍で37歳、日雇いの仕事をしていると名乗り、調べに対して黙秘しています。切りつけ事件との関係は、警察が捜査しています。

大切なのは、現時点で逮捕の容疑は「刃物を持っていたこと」であり、切りつけとの関係はまだ捜査中だということです。
事実が明らかになるまでは、断定せずに見守る必要があります。
■ 不安の声に、どう向き合うか
事件のあと、「外国人が増えて、松戸の治安が悪くなったのではないか」という声も耳にします。
その不安は、決して軽く扱ってよいものではありません。
一方で、不安だけで判断すると、何の罪もない多くの外国人住民まで疑いの目で見ることになり、地域に分断が生まれます。
だからこそ、まず数字を冷静に見ることから始めたいと思います。
全国で来日外国人が刑法犯で検挙された人数は、ピークだった2004年の8,898人に対し、2024年は6,368人でした。
ピーク時よりは少ないものの、2024年は前年より11.0%増えています。検挙件数も2年続けて増えました。

数字は冷静に見る。そのうえで、増えている現実からも目をそらさない。
どちらか一方だけでは、地域の安全は守れないと私は考えています。
ちなみに、松戸市内の刑法犯の認知件数は、2024年は2,703件でした。
そのうち約7割が窃盗で、自転車盗だけで678件にのぼります。
身近な犯罪への備えも、引き続き欠かせません。
■ 行政書士として見てきたこと
私は行政書士として、外国人の在留資格の手続きに携わってきました。
その経験から言えるのは、日本で暮らす外国人の大多数は、ルールを守り、税金を納め、日本の社会に溶け込もうと努力している人たちだということです。
だからこそ、ルールを破る人には、国籍を問わず厳正に対応すべきです。
ルールを守る外国人が「同じ外国人だから」と疑われるのは、本人にとっても、松戸にとっても不幸なことです。厳しさと公正さは、両立できます。
■ 松戸市ができる5つの防犯対策
在留資格の管理や出入国の審査は国の仕事です。それでも、市だからこそできることがあります。

1 駅周辺の見守りと防犯カメラ
夜の駅前は、通勤・通学の人が行き交う一方で、人の目が届きにくい時間帯もあります。駅周辺の巡回を強め、防犯カメラの設置(特に公園や通学路、駅周辺の路地など)と、異変に気づいたらすぐ通報できる仕組みを整えます。
2 日本のルールを、来たその日に伝える
日本では、刃物を正当な理由なく持ち歩くこと自体が犯罪です。
刃の長さが6センチを超える刃物は銃刀法で、それより短いものでも、隠して持ち歩けば軽犯罪法で罰せられます。
国によってルールは違います。転入の手続きのときに、多言語で日本の法律や生活ルールを伝えることを徹底します。
3 不法就労をさせない
今回逮捕された男は日雇いの仕事をしていると名乗っています。
在留資格の確認をせずに外国人を雇う事業者がいれば、不法就労の温床になります。
2024年の法改正で、不法就労を助長した者への罰則は、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に引き上げられることになりました。
市内の事業者に、在留カードの確認を徹底するよう周知します。
外国人を雇用する企業に対して在留資格で認められる外国人の活動内容を理解させることが欠かせません。
4 警察・入管と市の連携
警察や出入国在留管理局と市が情報を共有し、地域で不安が高まったときには、事実をきちんと住民に説明する場をつくります。
必要であれば自治体が入管へ通報する必要もあると考えます。
5 孤立させない、地域の担い手に
言葉や生活の壁で地域から孤立した人は、トラブルを起こすことも、被害にあうことも見過ごされがちです。相談窓口につながる外国人住民を増やし、町会や防犯活動に参加してもらうことで、外国人住民も地域を守る仲間になれます。
■ おわりに
今回の事件で、多くの方が不安を感じています。その不安に、政治は正面から応えなければなりません。
ただし、不安を「誰かへの敵意」に変えてしまえば、地域はかえって弱くなります。
必要なのは、不安を具体的な「対策」に変えることです。
ルールを守る人は、国籍にかかわらず安心して暮らせる。ルールを破る人には、国籍にかかわらず厳正に対応する。
それが、松戸の安全と「秩序ある共生」を両立させる道だと、私は考えています。
参考文献
NHK「JR馬橋駅で刃物所持疑い逮捕 3人けが 関連を捜査 千葉 松戸」(2026年10月30日)
https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20261030de68167
ABEMA TIMES(テレビ朝日系)「歩行者3人が襲われけが “刃物所持”で男逮捕」(2026年10月30日)
https://times.abema.tv/articles/-/10285333
法務省「令和7年版 犯罪白書 第4編第9章第2節 来日外国人犯罪の動向」
https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/72/nfm/n72_2_4_9_2_1.html
松戸市「松戸市犯罪発生状況(令和6年1月から令和6年12月版)」
https://www.city.matsudo.chiba.jp/kurashi/anzen_anshin/bouhan/hanzai_joho/hhjk_R6_12.html
出入国在留管理庁「出入国管理及び難民認定法等の一部改正について(不法就労助長罪の厳罰化)」
https://www.moj.go.jp/isa/content/001415280.pdf
松戸市「安心・安全メール(すぐメール)」10月30日配信
https://plus.sugumail.com/usr/matsudo/doc/1378301
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