照井りょう(てるいりょう)千葉県松戸市

家族の世話をする子どもたち|松戸市のヤングケアラー調査から見えたこと

朝、学校に行く前に、きょうだいの朝ごはんを用意する。放課後は友だちと遊ばずに家に帰り、体調の悪いお母さんの代わりに夕食を作る。
夜、洗濯物を取り込んでから、ようやく宿題に取りかかる。

本来は大人が担うような家族の世話や家事を、日常的に引き受けている子どもたち。「ヤングケアラー」と呼ばれています。

この記事では、松戸市が行った調査の結果をもとに、松戸のヤングケアラーの実態と、市がすべきことを考えます。

ヤングケアラーとは

ヤングケアラーとは、家族の介護や日常生活の世話を、年齢に見合わないほど過度に担っている子どもや若者のことです。
2024年には法律が改正され、国や自治体が支援すべき対象として、はっきり位置づけられました。

世話の中身は、さまざまです。

・病気や障がいのある家族の介護
・幼いきょうだいの世話や送り迎え
・家族の代わりに、料理や掃除、洗濯などの家事
・日本語が苦手な家族のための通訳
・家計を支えるためのアルバイト

家族を手伝うこと自体は、悪いことではありません。
問題は、それが子どもの年齢に見合わないほど重く、勉強や友だちとの時間、そして子どもの将来を削ってしまうことです。

松戸の高校2年生、24人に1人が家族の世話をしている

国が行った調査では、家族の世話をしている子どもは中学2年生で5.7%、およそ17人に1人でした。

松戸市も2025年11月に、市内の高校10校の2年生を対象に独自の調査を行っています。
回答した1,403人のうち、家族の世話をしていると答えたのは58人、4.1%でした。およそ24人に1人、1クラスに1人以上いる計算です。

そのうち約2割は、「ほぼ毎日」世話をしていると答えています。

世話の相手は、お母さんが最も多い

松戸市の調査で、世話をしている相手として最も多かったのは「母親」で、50.0%でした。次いで妹や弟、父親の順です。

世話の中身で最も多いのは、食事の準備や掃除、洗濯などの家事で56.9%でした。
外出の付き添い、きょうだいの世話や送り迎えが続きます。
家計を支えるためにアルバイトをしている子も1割いました。

「相談しても、変わらない」

この調査で最も重く受け止めるべきなのは、相談についての結果です。

家族の世話について、誰かに相談したことがある子は17.2%にとどまりました。相談しない、あるいは迷う理由として最も多かったのは、「相談しても状況が変わるとは思わない」で、45.2%です。

ほかにも、「誰に相談すればよいかわからない」「家族のことを知られたくない」という声がありました。

さらに、家族の世話をしている子の中で「ヤングケアラー」という言葉の意味まで知っている子は約4割で、世話をしていない子より少ないという結果も出ています。
自分がヤングケアラーだと気づいていない子どもも多いのです。

子どもたちは、助けを求めていないのではありません。
助けを求めても無駄だと思っているのです。それは、大人の側が変えなければならないことだと考えております。

不登校とつながる、ヤングケアラーの問題

以前、松戸市の不登校について記事を書きました。松戸市では、不登校の小中学生がおよそ1,100人いると推計されます。

不登校の理由はさまざまですが、その背景に家族の世話が隠れていることがあります。
朝、家族の世話で学校に行けない。家族のことが心配で、学校にいても落ち着かない。遅刻や欠席が続いても、子どもは「家族のことを知られたくない」と理由を話しません。

松戸市の調査でも、家族の世話をしている子の中には、学校を休んだり遅刻・早退したりする子がいました。
勉強の時間が取れない、ストレスを感じているという声も多く寄せられています。

学校が欠席や遅刻を「本人のやる気の問題」として片づけてしまえば、その後ろにある家庭の事情は見えなくなります。
不登校の支援とヤングケアラーの支援は、一体で考えなければなりません。

親なき後とつながる、ヤングケアラーの問題

障がいのある子どもの「親なき後」についても記事を書きました。
「親なき後」は、親が元気なうちにしか準備できません|後見人の立場から見た松戸市の支援と課題

障がいのある子の親が年を重ねると、そのきょうだいが、親の代わりに世話を担うようになることがあります。
親が元気なうちは親を手伝い、親が高齢になれば親ときょうだいの両方の世話をする。
子どものころから家族のケアを背負い続け、自分の進学や就職、結婚をあきらめる人もいます。

成年後見人として活動する中で感じるのは、家族だけで抱え込まないことの大切さです。介護や障がい福祉のサービス、成年後見制度を早めに使い、家族のケアを社会で分け合う。
それは親のためだけでなく、きょうだいである子どもを守ることにもつながります。

松戸市の取り組み

松戸市は、こども家庭センターにヤングケアラーの相談専門窓口を設けています。
家事や育児のサービス、介護・障がい・医療のサービスの申請を手伝うほか、外国籍の家族への通訳や同行支援、進学のための奨学金の案内、ショートステイなど一時的に家を離れる場所の紹介も行っています。
小中高校を訪問しての啓発活動にも取り組んでいます。

こうした仕組みがあることは、大切な一歩です。ただ、子どもたちが「相談しても変わらない」と感じている以上、その支援はまだ届いていません。

私の提案
1 小中学生の実態も調べる

松戸市の調査は高校2年生だけが対象でした。ヤングケアラーの負担は、もっと幼いころから始まっていることがあります。
小学生や中学生の実態も調べ、早い段階で気づける仕組みをつくります。

2 学校で気づき、つなぐ

遅刻や欠席、宿題が出せない、表情が暗い。学校は、ヤングケアラーに最初に気づける場所です。
先生やスクールソーシャルワーカーが気づき、こども家庭センターにつなぐ流れを、不登校の支援と一体で整えます。

3 「相談すれば変わる」を見せる

相談した子どもに、すぐに目に見える支援を届けます。家事を手伝うヘルパーの派遣など、相談したら生活が楽になったと実感できることが、次の相談につながります。
どんな支援があり、相談したらどうなるのかを、子どもにもわかる言葉で伝えます。

4 家族のケアを、社会で分け合う

障がいや病気のある家族がいる家庭に、早めに福祉サービスや成年後見制度を届けます。
親なき後を見据えた備えを支え、きょうだいである子どもが、ケアを一人で背負わなくてすむようにします。

5 18歳を過ぎても支える

家族の世話は、18歳になったら終わるわけではありません。
高校を卒業したあとの若者ケアラーも、進学や就職の悩みに寄り添って支え続けます。

子どもが、子どもでいられるように

家族を大切に思い、黙って世話を続ける子どもたちがいます。その優しさに、大人が甘えてはいけません。

子どもが、子どもらしく学び、遊び、将来の夢を描けること。それを守るのは、大人と社会の責任です。
「相談しても変わらない」と感じている子どもたちに、「相談してよかった」と思ってもらえる松戸にしていきます。

参考文献

松戸市こども家庭センター(2026年3月)「令和7年度 高校生の生活状況アンケート(ヤングケアラー実態調査)調査結果報告書」
https://www.city.matsudo.chiba.jp/kosodate/matsudodekosodate/kosodatenavi/soudanshitaikata/youngcarer.files/ycsurvey.pdf
松戸市「松戸市のヤングケアラー支援の取組み」
https://www.city.matsudo.chiba.jp/kosodate/matsudodekosodate/kosodatenavi/soudanshitaikata/youngcarer.files/ycsien.pdf
松戸市「ヤングケアラーについて」
https://www.city.matsudo.chiba.jp/kosodate/matsudodekosodate/kosodatenavi/soudanshitaikata/youngcarer.html
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(2021年3月)「ヤングケアラーの実態に関する調査研究 報告書」
https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2021/04/koukai_210412_7.pdf
厚生労働省「多機関・多職種連携によるヤングケアラー支援マニュアル」
https://www.mhlw.go.jp/content/000932685.pdf
千葉県「ヤングケアラー実態調査の概要」
https://www.pref.chiba.lg.jp/jika/shingikai/youngcarer/documents/cyoung-gaiyo.pdf

▼ 私が松戸市政に挑戦する理由や、詳しいプロフィールはこちらもご覧ください。
照井りょうプロフィールはコチラ

▼ 照井りょうの公式LINEはこちら。ご意見やご感想、情報交換等お気軽にご登録ください。
ブログで取り上げてほしい•調べてほしいテーマなどもお寄せください。
照井りょう公式LINE

照井りょう公式HPの拡散にご協力下さい

照井りょうのSNSをフォローして下さい