【第4回】松戸市の事例で考える:国際都市と産学官連携に潜む特有の死角
2026年4月10日
こんにちは!
闘う行政書士の照井 遼(てるい りょう)です。
これまでの連載で、中国の「国家情報法」がいかに日本の法治主義や社会全体に深刻な影響を及ぼすかをご説明してきました。
第4回となる今回は、議論の解像度をさらに上げるため、私たちが暮らす千葉県松戸市の地域特性を具体的なケーススタディとして取り上げます。
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今回→【第4回】松戸市の事例で考える:国際都市と産学官連携に潜む特有の死角
【第5回】日本にはスパイを防ぐ法律がない!?早急な法整備が求められる理由
松戸市は、多文化共生や産学官連携に非常に積極的で、活気に満ちた素晴らしい自治体です。
しかし、国際政治と安全保障の冷酷な現実を直視したとき、その「開かれた先進的な取り組み」こそが、情報セキュリティの観点からは特有の脆弱性(アキレス腱)となり得るのです。
(※本記事における松戸市の特性は、一般的な公開情報に基づくリスクマネジメントの観点からの事例分析です)
① 巨大な外国人コミュニティと「善良な隣人」が負うリスク
松戸市には多くの外国人住民が暮らしており、なんとそのうち約4割を中国籍の方々が占めています。
誤解のないように申し上げますが、彼らの大半は純粋に生活や勉学、ビジネスのために滞在している善良な市民です。
しかし、ここが最も恐ろしい点なのですが、中国の国家情報法第7条が定める「国家情報工作への協力義務」は、彼らの意思に関係なく、全員に等しく適用されます。
もし中国の情報機関が、松戸市内の特定の技術や行政情報を狙った場合、この巨大なコミュニティの中にいる人物が、本国の家族の安全などを盾にされ、意図せず「協力者(スパイ)」として利用されてしまうリスクが構造的に極めて高いのです。
これは日本の安全保障の問題であると同時に、善良な中国籍住民を本国の強権からどう守るかという人権の問題でもあります。
② 市内4大学との「産学官連携」に潜む技術流出ルート
松戸市は市内に4つの大学キャンパスを有し、市と大学が包括協定を結んで産学官連携を強力に推進しています。
大学というオープンな環境には、「農業バイオテクノロジー」や「医療・生体データ」など、将来の国家の競争力や安全保障を左右する最先端の研究(デュアルユース技術)が眠っています。もしこれらの共同研究プロジェクトに、中国籍の留学生や研究者、あるいは中国系資本の協賛企業が参加していたらどうなるでしょうか?
彼らが母国の法律(国家情報法)に絶対的に縛られている以上、松戸市発の先端技術や研究データが、合法的な顔をしてそのまま他国の軍事・情報機関へと流出する「土管」になり得るのです。
「学問の自由」という美しい言葉だけで、この現実から目を背けることは許されません。
③ SDGs推進と行政DXによる「ビッグデータの集約」
「SDGs未来都市」に選定されている松戸市は、デジタル技術を用いた地域課題の解決(行政DX)に取り組んでいます。ここには、市民の移動履歴、健康情報、消費動向など、膨大なパーソナルデータ(ビッグデータ)が扱われます。
現在、データは「21世紀の石油」と呼ばれるほどの戦略的価値を持っています。
もし、市のデータ分析を担う連携企業や、行政システムに導入されている通信機器・ソフトウェアに、中国系企業の製品が入り込んでいた場合、市民の極めて機微なプライバシー情報が、国家情報法を通じて他国政府に筒抜けになるリスクが生じます。
行政のシステム調達において「コストが安いから」という経済的理由だけでベンダーを選定することは、市民の安全を売り渡すに等しい行為です。
松戸市に求められる「真のダイバーシティと防衛策」
結論を申し上げます。
松戸市に必要なのは、外国人住民を排斥することや、国際交流を閉ざすことでは断じてありません。
「国籍」という属性で差別するのではなく、行政や大学の重要情報へのアクセス権を「適格性(セキュリティクリアランス)」の観点で厳格に制限し、システムの調達ルールを経済安全保障の基準で抜本的に見直すことです。
産学官のオープンな連携の恩恵を享受しつつ、強固な防衛策を両立させる「したたかさ」と「ルール作り」。
これこそが、国任せではない、地方自治体レベルで実践すべき真の平和構築・安全保障です。
実務家として、私はこの松戸市の足元にある危機に対しても、引き続き警鐘を鳴らし、具体的なルール作りを提言してまいります。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。